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「サムダルリへようこそ」に学ぶ慣用句&ことわざ <前編>

実際に使えそう&使いたい言葉がたくさん!

「サムダルリへようこそ」웰컴투 삼달리 概要

  • 2023~2024 JTBC 全16話
  • 演出: チャ・ヨンフン/ キム・ヒョンジュン
  • 脚本: クォン・ヘジュ
  • 出演: チ・チャンウク(チョ・ヨンピル役)/ シン・へソン(チョ・サムダル役)ほか

済州島を舞台に、ほぼ同時刻に生まれた幼なじみの恋を描いたドラマ。

ストーリーもキャストも良かったのはもちろん、TOPIKでも出題される慣用句やことわざもたくさん出てきて勉強にもなる、ありがたい作品でした。

その中から私が「なるほど、覚えておきたい!」と思った慣用句とことわざを集めてみました。思いのほか多くあったので2回にわけ、まずは前編として、第1話から第9話までです。

 

 

1.개천에서 용 난다: とんびが鷹をうむ

 

恵まれていない環境から成功者が誕生すること

 

"전 용 될 거에요. 개천에서 난 용." (第1話、サムダルのセリフから)

ことわざ: 개천에서 용 난다 

直訳: 小川から龍が出る

意味: とんびが鷹をうむ

 

卑賎な家柄や能力のない親(=小川)から素晴らしい人物(=龍)が生まれる場合にいうことわざです。

大きくなったら何になりたいか聞かれたサムダルは「小川で生まれた龍になります」と答えます。

「小川」は済州のサムダルリという小さな村。「龍」は大きくなったらソウルで立派に成功する人、ということを意味します。

そして、隣にいたヨンピルは「小川にいる」と答えるのですが・・・・・・

最終話までに2人がどうなっているか。見終わったあとにこの言葉に戻って考えると奥深さを感じるはずです。

「田舎を出て成功する」というのはこのドラマのテーマの前提となっていて、「小川」「龍」を使ったセリフは第1話だけでなく何度も言及されます。

 

육지「陸地」について

ドラマの舞台は大半が済州で、ソウルはサムダルリが済州に戻る前に生活していたときの回想シーンや、ソウルに残っている元同僚の様子が描かれるときに出てくる構成です。サムダルリの人たちが「ソウル」を意味するときに「ソウル」と言うだけでなく「陸地」と言うこともあるのがとても印象に残りました。

単に<村>vs.<都会>だけでなく、<島>vs.<陸地=大陸につながっている土地>と言うところに、島に住む人たちの心の在り方を示しているように感じられます。

「ソウル」と言う人いれば「陸地」と言う人もいるし、状況によって使い分けているときもあるようで、島に残って暮らすことと都会に出て過ごすことについていろいろと考えが及びます。

ソウルの人たちのことを육지인「陸地人」や육지 사람「陸地の人」と言うこともありました。

 

2.씨알도 안 먹히다: 相手にされない

씨알이나 멕히겠나?  (第4話、ギョンテのセリフから)

慣用句: 씨알도 안 먹히다

直訳: 種や卵(ほどの小さな言葉や行為)ですら受け入れられない

意味: 通じない/ 相手にしてくれない

 

サムダルが戻ってきたのは濡れ衣を着せられたからだと知って憤怒するサンドに、ギョンテが「いくら反論したってわかってもらえないさ」と冷静にさとすシーン。字幕では「焼け石に水だ」とスパッと言い切っています。

セリフは멕히다を使っていますが、これは먹히다の方言だそうです。

먹히다は「食べさせる」の意味で使うことが多いようですが、「ある言葉や行為が相手に受け入れられる」という意味もあり、ここでは後者です。

씨「種」と 알「卵」を合わせて「些細なことを求めること」を意味しています。

 

3.눈칫밥(을) 먹다: 肩身の狭い思いをする

너 눈칫밥 먹을라믄 멀었쪄, 응?  (第7話、ギョンテの母のセリフから)

慣用句: 눈칫밥(을) 먹다

直訳: 人の目を気にするご飯を食べる

意味: 他人の顔色をうかがいながら、落ち着かずに過ごす/ 肩身の狭い思いをする

 

サムダルとヨンピルがソウルへ行ったときは自分も一緒だったと話すサンドに、「サムダルとヨンピルは恋仲なのだから空気を読んで行動しなさい」とギョンテの母がたしなめるシーン。字幕では「気の利かない男だね」と、ぴったりの訳になっていました。

そして、この直前の言葉も面白いです↓

낄끼빠빠를 했어야지! 「空気を読まなきゃダメでしょ!」

낄끼빠빠とは、"낄 때 끼고 빠질 때 빠지라"(入るときは入って、抜くときは抜け)という言葉を省略したもので、人が集まったときや会話をするときには空気を読んで入ったり抜けたりせよ、という意味を表します。慣用句「눈칫밥(을) 먹다」とセットで覚えておきたい言葉です(*'▽')

 

4.누구 코에 붙이겠나?  : みんなで分けるには少なすぎる

足りないよ! 誰の鼻につけるの?

 

”이거 누구 코에 붙이라고, 이고를..... ” (第3話、ヨンピルのセリフから)

慣用句: 누구 코에 붙이겠나?

直訳: 誰の鼻に付けられるのか?

意味: 全員で分けるには数や量が少なすぎる

 

第3話、ソウルにいるときの回想シーン。サムダル、ヨンピル、ギョンテが幼なじみのウノの誕生日を祝おうとウノの部屋に押しかけてきます。お祝いにと済州島産のサバを買ってきたギョンテでしたが、ソウルでは済州のサバは高かったから1尾しか買ってこられなかったと言います。

するとサバの少なさに「(4人で分けるには)少なすぎるだろう!」という意味でヨンピルがこの慣用句を使って叫ぶのです。

코(鼻)が 입(口)となった 누구 입에 붙이게나? も同じ意味の慣用句として使われるようです。

붙이게나?の部分は  바르겠는가? 붙이겠는가?の形でも使われます。

 

このシーンのあと、済州に残っているサンドからたくさんのサバが届いて一同が喜んでサンドに電話をするという場面に続きます。

サバは済州島の名物の一つ。誕生日だからふるさとの味で祝おうという幼なじみたちの温かい心を示していると感じられます。

ちなみにギョンテがソウルで1尾だけ買ってきたものには제주자반고등어 (済州塩サバ)5300ウォンとあります。済州出身の人からすると、とても高い値段ってことなのですね。なるほど! 

そして자반「塩漬け」고등어 「サバ」の単語も覚えられました(*'▽')

 

5.꼼짝 못 하다: 身動きがとれない

삼달이한테 뭐 꼼짝도 못 하네 (第8話、ウヌのセリフから)

慣用句: 꼼짝 못 하다

直訳: もぞもぞと(動くことも)できない

意味: 身動きが取れない

 

人の力や威厳に押されて少しも力が出せないという意味の慣用句です。

おしゃべりで配慮のないギョンテの詮索をやめさせたいサムダルは、「恋愛経験がない男は理解できないからあれこれ聞くのね」とギョンテに逆攻撃をしかけます。そのとき2人の脇で聞いていたウヌが「無知だから仕方ない。サムダルに一本取られたな」とギョンテに言うシーンです。

「体を動かすことができない」という物理的な意味よりも「反論できない」「やり込められた」という意味になるのですね。

 

6.화양연화 : 花様年華

뭐, 우리가 화양연화를 그리워하면서(第8話、サムダルのセリフから)

四字熟語: 화양연화

漢字: 花様年華

意味: 人生で最も美しい瞬間

 

慣用句やことわざからは外れますが・・・・・・ひとつ四字熟語も紛れ込みました( ´∀` )

ギョンテにヨンピルとの中を詮索されて、サムダルが返したセリフ。「懐古の情に浸りながら」とすっきりした訳になっていました。

ところで、こういわれたギョンテでしたが、この四字熟語の意味が理解できません(;^_^A

となりのウノにこっそり聞こうとする様子をはさんでいるところからも、ギョンテがサムダルに及ばず抜けている様子を表しているとわかる部分です。

「花様年華~君といた季節(原題:화양연화 - 삶이 꽃이 되는 순간)」というドラマ(2020年/出演ユ・ジテ&イ・ボヨン他)もあったので、覚えやすいですね。

 

7.애간장이 녹다: 非常に心配だ

이 추룩 기다리잰 애간장이 다 넉아 버리켜 (第9話、海女仲間のセリフから)

慣用句: 애간장이 녹다

直訳: はらわたが溶ける

意味: はらわたがちぎれる/ 非常に心配だ

 

サムダルの母が病院に運ばれて心配をする海女の仲間たちの会話のなかのセリフのひとつ。「心配で胃がちぎれそうだ」と訳されています。

이 추룩とありますが、これは이 처럼の済州の方言とのこと、켜は거야の忠清の方言とのことだそうです。

なお、国立国語院のウリマルセム辞書を調べてみると애간장이 녹다は간장이 녹다(気をもむ)を強調する言葉とのことだそうで、간이 녹다も간장이 녹다と同意の慣用句だとの説明がありました。

간장の漢字語は [肝腸] なので内臓を表していて、「心配で胃が痛くなる」という日本の表現と似ています。  

 

8.귀에 딱지가 앉다: 耳にタコができる

귀에 딱지가 앉게 들었던 말인데 (第9話、ヨンピルのセリフから)

慣用句:  귀에 딱지가 앉다

直訳: 耳にかさぶたができる

意味: 耳に胼胝[タコ]ができる

 

母親が親友同士で生まれた時期もほぼ同じなヨンピルとサムダルが「君の母は僕の母、僕の母は君の母」と、『耳にタコができる』くらいずっと聞いて育ってきたと話すシーンです。

同じ言葉を何度も聞くことの同意の慣用句として귀에 못이 박히다 (直訳:耳に胼胝ができる)や귀에 싹이 나다(直訳:耳に芽が出る)もあります。

 

9.원숭이도 나무에서 떨어진다: サルも木から落ちる

サルも木から落ちる・・・・・・たまには珍しいことも起きるんです

 

원숭이도 나무서 떨어진다고 (第8話、ギョンテの母のセリフから)

ことわざ: 원숭이도 나무에서 떨어진다

直訳: サルでも木から落ちる

意味: サルも木から落ちる

 

ギョンテの母が、海女の会長でもあるサムダルの母が素潜り中に事故にあった後で言ったことば。

韓国語と日本語のことわざがぴったり一致してわかりやすさ抜群のことばです(*'▽')

「나무에서」の部分がセリフでは「나무서」となっていますが、서は에서の省略された形です。

 

後編につづきます(#^^#)

以上が第1話から第9話までで見つけた9つの慣用句&ことわざ&おまけの四字熟語でした。

一つひとつ調べていくと、今まであいまいだったことも再確認できて学習効果もアップしていると感じられます。

 

ドラマのセリフを掘り下げる楽しさに、고마워★コマウォ★ありがとう!

 

よろしければ後編もご覧ください ↓

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