コマウォ★韓国語

韓国語を毎日楽しく&激しく猛勉強中! 

「内」は안、「外」は밖。なのに「内外」が안팎になるミステリー

その裏におよそ600年の歴史が・・・・・・

 

 

最近寒いですが、もちろんお隣の韓国にも大型寒波が来ていたようです。

この寒さを냉장고 한파「冷蔵庫寒波」や냉동고 한파「冷凍庫寒波」と表現しているニュースもありました。

 

きっかけは「マイナス9度前後」

 

韓国の天気予報を聞いていたら、この1文と出合いました。

 

오늘 서울의 최고 기온이 영하 4도인데, 찬바람 때문에 실쩨로 체감하는 온도는 연하 9도 안팎으로 더 낮겠습니다. 

「今日ソウルの最高気温がマイナス4度なのですが、冷たい風のせいで実際に体感する温度はマイナス9度前後と、さらに低いでしょう」

 

ひえぇぇぇ!

(あれ。この言葉って「冷えぇぇえ」からきたのかな???)

 

 

済州島で豪雪を降らせてるほどの寒波の強さにも驚いたのですが・・・・・・私が気になってしまったのはこの文の中にある 안팎으로の안팎です( ´∀` )

 

この文では気温を表しているので안팎の部分は「前後」の訳がしっくりしますが、意味としては「内外」「およそ」「前後」などです。

 

今まで「内」はだし「外」はだから、「内外」だと漢字語내외のほかにも「アンパッ」ともいうのね、とさらっと頭に入れていたつもりでした。

 

ところがあらためて書いてみると、いつも「外」を意味するときに使うではなくだということに大きな疑問を持ったのです。

 

気になる! 

もう、寒波も豪雪もそっちのけ!

 

頼りにするのはウリマルセム♬ 

ウリマルセムは韓国の国立国語院の韓国語辞書です。

気になる項目を調べてみました。

 

밖の意味は?
  1. ある線を越えた側
  2. 表面となる側、またはその部分
  3. 一定の限度や範囲に入らなく残った別の部分や事柄
  4. 何にも取り囲まれていない空間、またはそちら側
  5. 四方、上下を覆ったり分けないところ

 

→ この5つの意味を見ると、つまり日本語でいうところの「外」ですね。

 

팎の意味は?

팥(小豆)の方言

 

→「팎」一文字での意味はこれしかありませんでした。「外」は全く関係ない!

 

안팎の意味は?

사물이나 영역의 안과 밖 

「事物や領域の中と外」

最後の「中と外」と訳したのが最後にある안과 밖の部分です。

안과 팎ではありません。

 

안팎となった歴史的背景は?

안팎の1番目の意味の説明の下に、歴史的な情報がありました。

 

理解した内容を日本語にしてみようと思ったところ、昔の韓国語の表記での説明があり、その文字をキーボードで打つことができません(^_^;)

 

文章で書いてもどうもすっきりしないので、頭の中で理解した内容を図にしてみました。(読みにくいと思いますが、書いてみた文は一応脚注に残しておきます(#^^#))*1

 

文字の変化を図にしてみると

 

 

図の中で手書きの部分、「ㅅㄱ」を2重のパッチムとして一度に示す文字は現代の韓国語にはない文字です。なのでキーボードでも出てこないのです(;^_^A

 

ウリマルセムの文献情報

ウリマルセムには文献情報も載っていたので、これはテキストで補足します。

 

  • 図の左上、つまり안팎となる以前の形(안と파の下にㅅㄱの2つのパッチムがある形)の文字は、15世紀の文献に見られる。ただこれは単独で使われたり子音で始まる助詞と結合するときは안팟となって現れていた。
  • 안팍と書かれた例が19世紀の文献で初めて現れた。母音で始まる助詞の前で現れたものなので、안팎の例だというわけにはいかないが、実際には안팎の形も存在していたと推定される。

 

 

ふうっ。

思いがけず図まで作ってしまうことになるとは( ´∀` )

おかげで理解が深まったので「안팎」の謎解きはここまでにしておきます♪   

 

これで「外」は밖、「内外」は안팎と悩まずに書けるようになりました!

 

国立ハングル博物館。ハングルの歴史がぎっしり!

 

調べていて「15世紀から19世紀は」と読んだとき、その前は?と一瞬だけ思ったのですが、ハングルができたのは15世紀だったことを思い出しました( ´∀` )*2

 

現代の韓国語を学んでいるつもりなのに、たまについうっかり古い韓国語の世界に入ってしまいます♪

 

言葉の変遷を示してくれているウリマルセムに、고마워★コマウォ★ありがとう!

 

 

 

 

 

 

*1:15世紀~19世紀まで<안팟ㄱ>だった。

(表記がおかしいですが、終声(パッチム)ㅅとㄱが二つともある表記が昔の韓国語のため、キーボードで入力できないのです(;^_^A。

下線をひいて示しますので、팟ㄱとあったら「파の下にㅅとㄱがつく」、밧ㄱのとあったら「바の下にㅅとㄱがつく」って頭の中で変換して読み進めてください)

 

さて、この文字<안팟ㄱ>ができるまでにも文字の変化があったようです。

 

もともと안は않、팟ㄱ밧ㄱだった。

 

2文字が結合したとき、 않のㅎの音がうしろとくっついたためにㅎがなくなり안となり、後ろの文字は밧ㄱ팟ㄱとなった。

 

では、その밧ㄱはなにか、というと、17世紀に終声(パッチム)のㅅㄱがㄲに変わって밖の形態が登場するまで使われていた言葉だそうです。

*2:1443年、世宗大王により『訓民正音』がつくられハングルが誕生しました