コマウォ★韓国語

韓国語を毎日楽しく&激しく猛勉強中! 

クォン・ナミ著『翻訳に生きて死んで』を一気読みしました

韓国で第一線で活躍する日本文学翻訳者による軽快なエッセイ集!

 

ふと手に取ったこの本、タイトルも表紙デザインも素敵です。すぐに「面白そう!」と思いました。実際に読み始めたら、やっぱり面白い!

すごい勢いで読んだようで、3時間ちょっとで読み終えてしまいました♬

(韓国語の本もこうやって早く読めるようになりたい( ^ω^)・・・

■ 書籍データ

タイトル: 翻訳に生きて死んで

サブタイトル: 日本文学翻訳家の波乱万丈ライフ

著者: クォン・ナミ 

訳者: 藤田麗子

出版社: 平凡社 

刊行日:2024年3月6日

ISBN: 978-4-582-83958-6

定価: 本体2500円(税別)

 

原題: 번역에 살고 죽고

by Kwon Nam-hee

Copyright (c)2021 Kwon Nam-hee

First published in Korea in 2011 by Maumsanchaek

■内容は、ざーっくり、こんなかんじ

韓国で日本文学翻訳家として30年以上の経験を持つクォン・ナミさんのエッセイ集。2011年に出された本を10年後の2021年に改訂・復刊された本の日本語訳版。

クォン・ナミさんがどのように日本文学に興味を持ちはじめたのか、なぜ翻訳家を目指すようになったのか、どうやって仕事を獲得したのか、翻訳業界の仕事や条件について、私生活のことまで含めてイロイロ詰まっています。読みやすく、わかりやすく、そしてためになる情報も詰まってます。日本語から韓国語に翻訳するコツなど実践的な内容も含まれていて、国は違えど翻訳家としての仕事に興味がある人ならとても勉強にもなる本です。

 

■この本から私が学んだ韓国語

今回私が記事にして残したい!と思ったのは、この本の中で学ぶべき言葉がいくつかあったからです。

 

1.「キジの代わりに鳳凰」

この表現は本の第一章の中の最初のエッセイのタイトルに使われている言葉です。

目次でこの文字を見て、「ん?『キジの代わりにニワトリ』ということわざは覚えているけど、ニワトリじゃなくて鳳凰?」と興味がわきました。

まずは「キジの代わりにニワトリ」から国立国語院の辞書ウリマルセムで調べてみました。

꿩 대신 닭 :

꼭 적당한 것이 없을 때 그와 비슷한 것으로 대신하는 경우를 비유적으로 이르는 말. 

<동의 속담> 봉 아니면 꿩이다

訳すと、

キジの代わりにニワトリ:

必ず適切なものがない時、それと同様のもので代用する場合を比喩的にいう言葉。

<同意のことわざ>鳳凰あるいはキジだ

 

なるほど、ここであるように同様のことわざで鳳凰(봉[鳳]=봉황[鳳凰])が出てくるのですね。これは私は初めて知りました! これもウリマルセムでチェックします。

 

봉 아니면 꿩이다:

꼭 적당한 것이 없을 때 그와 비슷한 것으로 대신하는 경우를 비유적으로 이르는 말. 

<동의 속담>꿩 대신 닭

鳳凰あるいはキジだ:

必ず適切なものがない時、それと同様のもので代用する場合を比喩的にいう言葉。

<同意のことわざ>キジの代わりにニワトリ

 

そして「キジの代わりに鳳凰」と書かれていた本に戻り、書かれていた内容を確認すると…

もともと小説家になることを夢見ていた著者が翻訳家となったのを見た友人から「キジの代わりにニワトリをつかまえたのねぇ」と言われたものの、翻訳家になって大満足している著者は「私はキジの代わりに鳳凰をつかまえた」のだ、というのです。ことわざの言葉をもじって、当初思っていたものより良いものを得た、という表現にしているのでした。

「鳳凰あるいはキジだ」「キジの代わりにニワトリ」の二つのことわざを知っていたらわかる表現でした♬

봉(鳳凰)>꿩(キジ)>닭(ニワトリ)

 

2.「総合的難局」

これは著者が20代のときに書いた文章を読み直して「こっぱずかしい」」と感じながら

総体的難局って、こんなときに使うべき表現なのかも。

という文章で出てくる言葉です。ここには訳注があり

[すべてがめちゃくちゃな状態を表す言葉で、韓国では頻繁に使われる]

とありました。

 

へええ! 「総体的難局」は漢字語だからなんとなく意味は理解できそうだけど、日本では使われないことばです。韓国では頻繁に使われるとあるのだから、そりゃ調べてみなくちゃ、ということで辞書を引いてみました。

 

NAVER韓日にはこの単語を定義する説明は見つけられませんでした。例文はいくつか載っているのに定義がなくて残念。

今度は国立国語院のウリマルセムを引いてみると、単語としてありました!

 

총체적 난국 [総体的難局]

모든 것이 어려운 상황아나 국연.

訳すと「すべてのことが難しい状況あるいは局面」

 

5つ載っていた用例を見ると「우리 경제의 총체적 난국. (韓国経済の総体的難局)」をはじめ、経済について使われることが多いようでした。

 

총체적 난국という表現をウェブやYouTube、音楽アプリで検索すると、交差点での多重事故や行政を改善するために作る施設がマイナスの影響が指摘されるようなときのほか、バラエティ・ドラマ紹介のショート動画にも使われていたり、歌の歌詞の中でも使われているようだとわかりました。

これからはドラマや映画を見る中でも使われているシーンがあるのか見つけていきたいと思いました!(^^)!

 

3.「肉も食べたことのある人がよく食べる」

本の中では「翻訳はどんなふうに勉強すればいいか」という問いに対して、「たくさん書いてみよう」と著者が答える部分で出てくる表現です。

私の知らない諺です。またまた国立国語院のウリマルセムの登場!

 

고기도 먹어 본 사람이 많이 먹는다:

무슨 일이든지 늘 하던 사람이 더 잘한다는 말. 

<동의속담> 떡도 먹어 본 사람이 먹는다. 

訳すと

ことわざ: 肉も食べてみた人がたくさん食べる

意味: どんなことであれ、いつもやっている人がより上手にできるという言葉

同意のことわざに「餅も食べてみた人が食べる」

 

ふむふむ、同じ意味のことわざがもう一つ学べます(#^^#) 「고기=肉」が「떡=餅」になっています。餅バージョンもウリマルセムを引いてみました。

 

떡도 먹어 본 사람이 먹는다 :

무슨 일이든지 늘 하던 사람이 더 잘한다는 말. 

<동의 속담> 고기도 먹어 본 사람이 많이 먹는다.

ことわざ: 餅も食べてみた人が食べる

意味: どんなことであれ、いつもやっている人がより上手にできるという言葉

同意のことわざに「肉も食べてみた人がたくさん食べる」

 

説明は全く同じなので同じ意味のことわざとして使えるということがわかりました。

一つ違いがあるのは、肉のときは「많이 먹는다=たくさん食べる」だけど、餅のときは「먹는다=食べる」とあって、「많이=たくさん」という言葉が抜けています。

違いがある背景までわかると楽しそうですが、ことわざなのでここはいったんそのまま覚えることとしておきます(`・ω・´)ゞ

 
 
知識と元気をもらえる軽快なエッセイ集に出合えたことに、고마워★コマウォ★ありがとう!